2025/09/12

2025年度日本水産工学会 分野別研究会・春季シンポジウム 開催報告

 

 

 2025年5月24日・24日の日程で,水産研究・教育機構 水産大学校(下関)で2025年度日本水産工学会学術講演会が開催されました。開催期間中,学生優秀賞の対象となる講演を含む一般講演,学会賞受賞講演に加え,分野別の研究会及び春季シンポジウムが開催されました。なお,学術講演会へは,全国から120名が参加されました。
 分野別の研究会では,「水産土木」,「漁業技術・漁具漁法」,「漁船」,「洋上施設」の計4分野毎に教室に分かれ,最新の国内外の動向や展望,有望視されている研究手法や要素技術等を対象に,講演と意見交換が行われました。

 

【水産土木分野】
 ・大井 邦昭(水産研究・教育機構 水産技術研究所)
   近年の自然災害を踏まえた漁港設計手法開発の動向と今後の展望について

 ・川俣 茂(水産研究・教育機構 水産技術研究所)
   沈設魚礁の新しい流体力算定式とその流体力係数:その優れた特性と利用のための課題

 

【漁業技術及び漁具漁法分野】
 ・山下 秀幸(水産研究・教育機構 開発調査センター)
   気候変動に対応した漁業技術:複合型操業形態の確立に向けて

 ・宮本 隆典(東京海洋大学)
   漁具漁法研究における画像処理・AI解析 

 

【漁船分野】
 ・岩田  佳之,平石 一夫((一社)海洋水産システム協会),
  三好 潤,高橋 竜三(水産研究・教育機構 水産技術研究所)
   水素燃料漁船の現状と展望について

 ・山西 大,石田 雅照,井原 剛,津田 稔(水産研究・教育機構 水産大学校)
   アンモニア水混合燃料によるディーゼル機関の性能評価

 ・石田 雅照,山西 大,井原 剛,津田 稔(水産研究・教育機構 水産大学校)
   ディーゼル機関における代替燃料としての動植物性油の活用

 

【洋上施設分野】 
 ・伴谷 亮(東洋建設(株) 洋上風力事業本部)
   洋上風力発電の現状と展望

 ・濱野 明,鉛 進((一社)ACMSコンソーシアム),笹倉 豊喜(フュージョン(有))
   養殖生簀内のクロマグロの遊泳行動の実計測と可視化について

 

 2日目の25日午後に,同校講義棟43番教室において,2025年度日本水産工学会春季シンポジウム「水産業を支える自動化技術の未来を考える」が開催されました。本シンポジウムでは,現時点における水産業や農業・畜産業での自動化・スマート化や,近年進展の激しい生成AIなどの現状や動向について紹介がありました。
 開会にあたり,本学会松下吉樹会長,及び水産研究・教育機構 水産大学校 久保寺聡之特任部長から挨拶がありました。続いて,コンビナーの椎木友朗氏(水産研究・教育機構 水産大学校)が趣旨説明を行いました。
 講演者,及び講演タイトルについては,以下の通りです。

 

 ・近藤 直(京都大学)
   持続可能な食料生産のための農畜水産業におけるセンシングおよびスマート化

 ・松本 浩文(水産研究・教育機構 水産大学校)
   漁船漁業の自動化・デジタル化の動向と可能性

 ・石田 武志(水産研究・教育機構 水産大学校)
   AIの基礎,生成AIの動向と自動化への応用の可能性

 

 また,各講演の後の総合討論 では,講演内容に関して,水産分野へのさらなる自動化・スマート化の方向性について意見交換が行われました。シンポジウムへの参加者数は計60名となり,参加者からの質問や講演内容に関する意見等を通じて,水産業の自動化・スマート化における新たな可能性を探り,今後の発展に向けた議論を深めることが出来ました。
 本シンポジウムの最後には,本学会企画担当理事の⽶⼭和良氏から挨拶があり,閉会となりました。



春季シンポジウム登壇者の皆様
上段左より松下会長, 近藤 直氏(京都大学)
下段左より松本浩文氏,石田武志氏(水産研究・教育機構 水産大学校)

 

 




分野別研究会の様子           シンポジウム開催の様子

 

 

カテゴリ:日本水産工学会の行事